若者を魅了するワーキングホリデー、その光と影に迫る
「海外で働きながら生活する」
そんな夢のような響きを持つワーキングホリデー(ワーホリ)。近年、円安やメディアの影響もあり、海外へ出稼ぎ目的で渡航する若者が急増しています。しかし、その一方で、現地の厳しい現実と直面し、「こんなはずじゃなかった…」と嘆く声も後を絶ちません。
今回は、ワーホリの光と影、そしてお金を稼ぐためだけの海外志向の是非について、経験者や専門家の意見を交えながら深く掘り下げていきます。
ワーホリとは?本来の目的と現状のギャップ
ワーホリとは、日本と協定を結ぶ国や地域において、1年から最長3年間、長期間滞在できる制度です。留学とは異なり、就労が認められている点が最大の特徴で、学校に通いながら働くことも可能です。
本来の目的は、異文化理解や国際交流。しかし、近年の日本では、円安や物価高騰を背景に、「稼げる」という側面がクローズアップされがちです。
実際に、ワーホリ経験者の多くが、仕事探しに苦労したという現状があります。メディアやSNSで拡散される華やかなイメージとは裏腹に、現実は厳しい競争が待ち受けているのです。
現地で直面する壁:仕事探しと生活費
オーストラリアでワーホリを経験した石山さんの例を見てみましょう。彼はバリスタになる夢を抱き、期待に胸を膨らませて渡航しました。しかし、現実は甘くありませんでした。20件以上のアルバイトに応募するも、全て不採用。生活費にも困窮し、理想と現実のギャップに苦しむことになります。
石山さんのように、ワーホリ先で仕事が見つからず、生活費にも困窮するケースは少なくありません。円安の影響で、以前よりも生活費がかかるようになったことも、状況をさらに深刻化させています。
専門家が警鐘!本来の目的を見失ったワーホリ利用
日本ワーキングホリデー協会公式アンバサダーの水上さんは、現状を危惧しています。
「ワーホリは就労ビザではなく、あくまで観光ビザの一種。本来の目的は、異文化理解や国際交流です。それを出稼ぎ目的で利用するのは、制度の趣旨から外れています。」
本来、ワーホリは、休暇を兼ねて海外に滞在し、旅行などを楽しむ中で、必要な資金を補うために就労が認められている制度です。しかし、高賃金を求めて渡航する若者が増えたことで、現地の労働市場を歪めている可能性も指摘されています。
ワーホリ成功の鍵は?事前の準備と情報収集が重要に
では、ワーホリを成功させるためには、どのような準備が必要なのでしょうか?
専門家は、事前の情報収集とスキルアップの重要性を強調します。
- 英語力の向上: 就労するためには、ある程度の英語力は必須です。
- 職務経験: 就労ビザと異なり、特別なスキルや資格は求められませんが、職務経験があると有利になります。
- 生活費の確保: 仕事が見つかるまでの生活費は、事前に準備しておく必要があります。
- 情報収集: 現地の生活情報や仕事情報は、事前にしっかりと収集しておきましょう。
ワーホリは貴重な経験、目的意識を持って臨もう
ワーホリは、異文化に触れ、語学力を磨き、様々な経験を積むことができる貴重な機会です。しかし、安易な気持ちで渡航すると、厳しい現実が待ち受けていることも事実です。
ワーホリを検討する際は、「なぜ海外に行きたいのか」「そこで何をしたいのか」という目的意識を明確にし、事前の準備を怠らないようにしましょう。
まとめ
ワーキングホリデーは、若者にとって魅力的な制度ですが、その光と影を理解することが重要です。安易な情報に惑わされず、しっかりと準備をして、実りあるワーホリを実現させましょう。