もはや全ては虚構?情報過多な現代社会を生き抜くためのメディアリテラシーのススメ
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思わず二度見してしまうこんなニュースを見かけたことはないだろうか? 実はこれ、全て嘘の情報を掲載するウェブサイト「虚構新聞」の記事の一つだ。
今回は、ネット黎明期を知る男、虚構新聞を19年間たった一人で発信し続けるUKさんと、言わずと知れた論破王ひろゆきさんの対談を通して、情報過多な現代社会を生き抜くためのメディアリテラシーについて考えていきたい。
嘘から見える真実? 虚構新聞が問いかけるもの
虚構新聞といえば、「和式電気の生産終了」「イーロンマスク首相高まる待望論」など、思わず笑ってしまうような嘘のニュースを日々発信している。
「一番基本にあるのは、やっぱり読む人が笑ってくれるというか、クスッとしてもらえるところ」と語るUKさん。
しかし、その記事は単なる嘘で片付けるには惜しいほど、社会風刺や皮肉が効いている。
「できるだけやっぱりその時の人が関心持ってるような大きなテーマを扱えればいいなと思ってます。今だとやっぱり物価が上がってたりとか防衛増税とかいろいろ問題になってるし、やっぱりみんなどっか思うところがあると思います。なんかそれに対してこうくすぐるような要素入れられたら」
世界中のトピックをベースに、時には未来予測のような記事も。
「女子をスクール水着段階的廃止」という2011年の記事は、その後の男女共用・ジェンダーレス水着の登場を予見していたかのようにも思える。
「種無し柿の種登場」は、ピーナッツが入っていない柿の種を発売する企業が現れ、現実となった。
これらの記事は、私たちに何を問いかけているのだろうか?
嘘を見抜くスキルは本当に低下しているのか?
UKさんは、近年のネット社会における情報環境の変化を感じているという。
「昔と比べてやっぱり防衛意識の差というか、リテラシーっていうのは下がったのかなっていう感じは僕はするんですよ」
ひろゆきさんも、
「アメリカのトランプ大統領が『オルタナティブファクト』って言って、みんなが突っ込められるようなこと言っちゃったりするので。だから消毒液を体に売ったらなんかコロナが何とかなるってお医者さんが言っていたら、言うわけないでしょみたいな。でもなんかそれを聞いた人がそうなんだって思っちゃうっていう時点で、やっぱりなんか社会の中の嘘つくスキルがどんどん下がってんのかなって気がする」
と、独自の視点で分析する。
虚構新聞の記事は、一見すると嘘だと分かりやすい。しかし、世の中には嘘か本当か判断が難しい情報も溢れている。
「例えば福島の原発の事故の後に甲状腺がんが増えて、それ外形的には正しいんだけど、それは医療従事者の人たちから過剰診断だって散々言われてる。でもなんか未だにこう甲状腺が増えてるって書き続けてる。それをね違うって言えるかどうかっていうと、まあそれは違わない。違わないんだけど、それは客観的な間違いだっていうこと言う。そういう中で戦場の非常に微妙な話がないほどあって」
大手メディアの責任
情報の受け手側のリテラシーもさることながら、発信する側の責任も大きい。
「既存の正しいはずであるメディアの罪の部分が割とあると思ってて。本来のまともなメディアは嘘を書かないはずなんですよ。でもたまにまともなメディアで名前のあるところが嘘を書いて、しらばっくれたりするじゃないですか。そうするとそれを見た人たちが、まともなメディアでも嘘をつくんだってなっちゃうと、まともなメディアを信じないという理由が生まれちゃう」
大手メディアが誤報を出した場合、その後の対応も重要だ。
「例えばすごく一面使ってドンってやったやつが間違ってたりした時にお詫び訂正がすごいちっちゃかったりするわけじゃないですか。そういう部分で結局読者が知りたいのは何でそういう間違いが起こったかっていうことなんですけど、でも実際に載るのはここはここが間違ってましたおしまいみたいな形になってるんで」
ひろゆきさんは、
「3段4段使って書いた記事が間違ったんだったら、やっぱ3段4段使って謝るべきだと思う」
と、その姿勢を問う。
情報過多社会を生き抜くために
では、私たちは情報に翻弄されずに生きていくために、どのようなことができるのだろうか?
「本当に何が本当で何が嘘かっていうのは、やっぱり自分である程度調べる努力っていうのがあるかなと思ってて」
とUKさんは語る。
安易に情報に飛びつくのではなく、一度立ち止まって、情報源を確認したり、他の情報と照らし合わせてみるなど、自分自身で情報を取捨選択していくことが重要だ。
「例えば今僕ここに出てますけども、僕本当に有形かどうかわかんないですよね」
UKさんの言葉は、私たちに、情報との向き合い方を改めて考えさせてくれる。
まとめ
虚構新聞の記事は、一見するとただの嘘ニュースだが、その根底には、情報過多な現代社会に対するUKさんの鋭い洞察と風刺が込められている。